再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
『そのうち』
『タイミングが合えば』
そんな言い訳を並べているうちに、美桜はいなくなった。
両親の離婚で突然の引っ越し。
一番近くにいたはずなのに、なにも伝えられないまま、手の届かない場所へ行ってしまった。
美桜の居場所は母親なら知っていると思った。
だけど、どの面下げて母親に教えてほしいと頼めるというんだ。
美桜の母親と仲がよかったから、間違いなく、あの日のことを聞かされているはずだ。
母親は美桜のことを気に入っていたし、いつも『可愛い』と言っていた。
そんな母親が卒業式以降、美桜の名前を一度も口にしなかった。
なにも言わないことが、責められているみたいで、どうすることもできなかったんだ。
だから、もう二度と会えないと思っていた美桜と再会できたとき、本当に運命なんじゃないかと思った。
あの日、事務所の会議室にいた女性を見た瞬間、息が止まった。
――美桜だ。
一目で彼女だと気づき、心臓が早鐘を打つ。
最後に美桜を見たのは中一の夏。
あの頃よりずっと大人びて、綺麗になっていた。
美桜は俺に全く気づかない。
名前を告げると、あからさまに顔を歪めて視線をそらし、俺を拒絶する姿に胸が痛む。
それでも、あのときのことを謝りたかったし、桜のピンを返したかった。
だけど、タイミング悪く逃げられてしまった。