再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛から逃げられない~
ちょっと待って、海鳴建設といえば私でも知っている大手企業だ。
テツはその社長の息子ってこと?
「あれ、知らなかった?」
「知らないよ」
思わず即答すると、テツは肩をすくめた。
「まぁ、そういうことだよ。あと数年したら今の事務所での修行期間を終えて、親父の会社に戻ることになっているんだ」
サラリと言われた言葉は、かなり重たいものだった。
そういえば、テツが引っ越してきた頃はマンション暮らしだったのに、いつの間にか一軒家へ移っていた。
遊びに行ったときも、広くて立派な家という印象で、それ以上気にしたことはない。
単純に、お金持ちの家なんだろうと思っていた。
テツのお父さんも、めったに顔を合わせることはなかったけど、どこにでもいそうな普通の人だった。
テツママも、ブランド物で着飾るようなタイプではなく、優しくて料理上手な人だ。
手作りのお菓子をよくもらっていたのを覚えている。
うちの母からも、そんな話は聞いたことがなかった。
母親とテツママは仲がよく、何度も家を行き来していたので、知らないとは考えにくい。
あえて話さなかったのか、それとも話していたけど、そのことを私が忘れていたのか。
少し引っかかりは残るけど、今となってはどちらでもいいことだ。
「本当なら兄貴があの会社を継ぐはずだったんだけど、医者になったから、必然的に俺に回ってきてさ」
「え……」
思わず声が漏れた。