無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 きっとそのうち自分と似たようなタイプの男性とお見合いでもして、ごくありふれた家庭を築くのだろう。それが自分にはぴったりだ。

 「今日の夕飯、煮物よ。手を洗ってらっしゃい」
 「はーい」

 洗面所で手を洗って戻ると、すでに食卓には小鉢が並んでいた。煮物に焼き魚、味噌汁。見慣れた、お馴染みの献立だ。

 「今日は里芋が安かったの」
 「これからの時期は煮物がいいな」

 梢がそう言いながら天音の前に茶碗を置くと、正信が箸を取りながら言う。

 「冷える季節になるし、体は中から温めないと」
 「うん」

 天音は素直に頷き、里芋を口に運んだ。少し甘めの味つけは、いつも通りでほっとする。

 「仕事は忙しくなかったか?」
 「うん、特には」
 「それはなによりだ」

 正信はそれだけで満足そうに頷いた。

 「忙しすぎると、ろくなことがないからな」
 「そうそう。余裕がなくなると判断も雑になるし。毎日同じリズムで過ごせるのが、結局一番よ」

 天音は両親の言葉に、自然と同意した。
 無理はせず、今をきちんと回していく。この家ではそれがあたり前だ。
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