無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 胸の奥が小さく跳ねた。

 (放っておけないって……)

 ついさっきまで頭の中を占領していた人間が目の前にいる。考えない作業のはずだったのに、余計に心臓がうるさくなった。

 「あ、ありがとう。でも、あとは大丈夫だから仕事に戻って」

 どぎまぎしているのを隠そうと、少し早口になる。
 そう言いながら、天音はもうひとつのダンボールに手を伸ばした。重心を誤った、と気づいたのは一瞬遅れてからだった。

 「あっ」

 足元がぐらりと揺れ、体勢が崩れる。次の瞬間、背中に温度が触れた。
 腰に回された腕に、しっかりと力が入る。

 「危ない」

 背後から低く落ち着いた声がする。
 完全に支えられていた。抱きとめられるというより守られている感覚だ。
 心臓が耳の奥で鳴る。

 (ち、近っ……)

 息がかかるほどの距離で、幹人が続ける。

 「やっぱり放っておけない」
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