無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 幹人はというと、どことなく気まずそうに後頭部を掻きながら視線を泳がせている。さっきまでの落ち着いた様子とは打って変わって、年相応の居心地の悪そうな顔だ。
 倉庫に静寂が落ちた。機械の稼働音も人の気配も、妙に遠い。

 (このまま沈黙が続いたら、たぶん、もっと変なことを考える)

 そんな予感がしたそのとき、幹人がふと思い出したように顔を上げた。さっきまでの照れを切り替えるように、わざと軽い口調で言う。

 「そういえば、初詣行きましたか?」

 あまりに唐突だったため、パチッと瞬きをする。

 「初詣?」
 「はい」

 幹人は頷きながら、少しだけ肩の力を抜いた。

 「うん、家の近くの神社に親と」
 「そうですか。年明けの挨拶だけして、初詣の話してなかったなって思って」

 話題を変えたのは、たぶん意図的だ。なんとなく気まずい空気を払拭するための、彼なりの逃がし方。
 そうひとりで納得した次の瞬間、幹人がとんでもないひと言を発した。

 「付き合ってもらえませんか」
 「……えっ?」
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