無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 あまりに想定外で、言葉の意味を処理できなかった。頭の中で、今聞いた音だけが何度も反響する。

 「な、なにを言ってるの。からかわないで」

 思わず一歩引くと、幹人が目を丸くする。

 「からかう……?」
 「だって、そんなこと急に言われても」

 語尾がうまく続かない。突然の告白に胸の奥がざわついて、視線を合わせられなかった。
 幹人は数秒考え込むように黙り込み、それから、はっとしたように声を上げる。

 「あ、違います」

 焦ったように否定した。

 「違う?」
 「初詣に、って意味です」

 空気が一瞬、凍る。

 「……え?」
 「初詣に付き合ってください」

 言いながら、幹人は自分でも言葉足らずだと気づいたのか、若干気まずそうだ。

 (初詣に、付き合う……)

 数秒遅れて理解が追いついた。自分が盛大な勘違いをしていたとわかり、頬が一気に熱を持つ。恥ずかしすぎて今すぐここから逃げ出したい。
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