無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 そう思った瞬間、さっきまで成り行きだと思っていた誘いが、少し違って見えてくる。
 暇つぶしでも勢いでもなく、ちゃんと誰かと行きたかったのかもしれない。
 その相手に自分を選んでくれたことが、素直にうれしい。
 天音は視線を前に向けたまま、歩幅を少しだけ調整した。幹人と並ぶ距離を、無意識に保つために。

 「この先、少し坂です」
 「ちゃんと案内役だ」
 「一応、誘った側なので」

 そんなやり取りをしながら歩くうちに、肩の力が少しずつ抜けていく。会話は途切れがちでも、不思議と沈黙が気にならない。気づけば鳥居が見えるところまで来ていた。正月らしい賑わいはまだ残っていて、参道にはぽつぽつと人影がある。

 「ここ、静かでいいわね」

 そう言うと、隣を歩く彼が頷いた。

 「なんとなく、人混みはあんまり得意じゃなさそうだったから」

 曖昧な推測だけれど外れていない。大勢の人がいる中を歩くのは、想定外のことが起こりそうで苦手だ。
 境内へ続く石段は、思っていたよりも長かった。最初は平気だったのに、半分を過ぎたあたりで息が上がってくる。

 「ちょっと、きつい……」

 思わず足を止めると、幹人が一段上で振り返った。
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