無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 スプーンですくって彼の口元に持っていくと、幹人は観念したように口を開ける。

 「……すみません」
 「今は謝らない」

 スプーン一杯分を、ゆっくり口元へ運ぶ。嚥下するまで見届けてから、次をすくった。
 普段なら考えられない距離に、心臓が落ち着かない。

 (なにしてるんだろう、私……)

 そう思うのに、やめる理由が見つからない。

 「あったかいです」
 「そう、よかった」

 どうにか半分を食べ終えたところで、幹人が小さく息を吐いた。

 「もう、十分です」
 「じゃあ、次」
 「次?」

 天音は視線を逸らしながら言った。

 「そのまま寝る気?」
 「……着替えます」

 立ち上がろうとして、またよろける。

 「ちょっと待って」

 反射的に腕を取ると、彼の体温が掌に伝わってきた。
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