無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 そのまま離せずにいると、幹人が気まずそうに目を伏せる。

 「自分でできますから」
 「できてないでしょう」

 短く言ってクローゼットの前へ行き、部屋干しされていたパジャマを指差した。

 「これでいい?」
 「……はい」

 パジャマを手渡し、彼に背を向ける。

 「着替え終わったら言って」

 少し間を置いて、「終わりました」と小さな声がした。
 振り返ると、パジャマ姿の幹人が立っている。頼りなく見えて、また胸がざわつく。

 「じゃあ、寝よう」
 「はい」

 ベッドに横になるのを見届けてから、布団をかけなおす。

 「今日はもう課題はやらないで。なにも考えなくていいから」
 「寺崎さん」

 呼ばれて、顔を見る。

 「ありがとうございます」

 素直なひと言に言葉が詰まった。
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