無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 「えっ!?」

 慌てて腕時計を確認して息を呑んだ。

 「もうこんな時間……!」

 勢いよく身体を起こす。

 「ごめん、私、寝ちゃって!」
 「いえ、それは……」

 幹人は少し困ったように眉を下げた。

 「俺は、もう大丈夫なので」
 「大丈夫って」

 反射的に彼の額に手を伸ばす。昨日ほどの熱はない。

 「……下がってる」 
 「ほら」

 幹人は微笑んだ。

 「本当に助かりました。ありがとうございます」

 妙に丁寧な言い方が、ふたりの距離を戻すみたいに響く。
 天音は胸の奥に小さな違和感を残したまま、慌てて立ち上がる。

 「とにかく、無理はしないで。今日はちゃんと休むこと」
 「はい」
 「課題も熱が完全に下がってから。いい?」
 「……努力します」
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