無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 「友達が風邪でダウンしちゃって……看病してただけ」
 「友達って理世ちゃん?」

 梢が首を傾げる。
 一瞬、間が空いた。理世は何度も家に遊びに来ている。両親とも顔見知りで、母などは娘のように可愛がっている。

 「え、あ……うん」

 認めようかどうか迷って、結局理世の名前を借りてしまった。

 「それは心配ね」

 梢はあっさり表情を緩めた。

 「理世ちゃん、体弱いところあるものね」
 「そうなの」

 正信も新聞に視線を戻す。

 「それなら仕方ない。だが、ちゃんと連絡をしてこないと心配するだろう」
 「ごめんなさい」

 嘘はついていない。でも、全部を言っていない。
 胸の奥に、ちくりと小さな痛みが走る。

 「とにかく早く着替えなさい。会社、行くんでしょう?」
 「うん」

 自室に戻って着替えを準備し、急いでシャワーを浴びる。
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