無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます


 理世から連絡が入ったのは、その日のお昼のことだった。

 《ちょっと天音、びっくりさせないで》

 応答をタップするなり少し大きめの声が耳に飛び込んできて、天音は思わずスマホを耳から離しかけた。

 「ご、ごめん……」
 《ごめんじゃないでしょ。さっき天音のお母さんから電話きたんだよ?》
 「……うん」

 《体調大丈夫?って、いきなりよ? 私、なにかあったっけって本気で考えたんだから》

 天音は、コンビニの袋を片手にオフィスの給湯スペースの隅へ移動する。
 今日は朝バタバタして、お弁当を作る余裕なんてなかった。袋の中には、おにぎりがひとつとサンドイッチがひとつ。普段なら選ばない組み合わせだ。

 「朝帰りしちゃって」
 《は? 朝帰り?》

 理世の声が一段階上がる。

 《ちょっと待って、天音が?》
 「声大きい」
 《そりゃ大きくもなるでしょ。無難路線一本で生きてきた人間じゃない》

 図星すぎて、反論できない。
< 158 / 251 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop