無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
理世から連絡が入ったのは、その日のお昼のことだった。
《ちょっと天音、びっくりさせないで》
応答をタップするなり少し大きめの声が耳に飛び込んできて、天音は思わずスマホを耳から離しかけた。
「ご、ごめん……」
《ごめんじゃないでしょ。さっき天音のお母さんから電話きたんだよ?》
「……うん」
《体調大丈夫?って、いきなりよ? 私、なにかあったっけって本気で考えたんだから》
天音は、コンビニの袋を片手にオフィスの給湯スペースの隅へ移動する。
今日は朝バタバタして、お弁当を作る余裕なんてなかった。袋の中には、おにぎりがひとつとサンドイッチがひとつ。普段なら選ばない組み合わせだ。
「朝帰りしちゃって」
《は? 朝帰り?》
理世の声が一段階上がる。
《ちょっと待って、天音が?》
「声大きい」
《そりゃ大きくもなるでしょ。無難路線一本で生きてきた人間じゃない》
図星すぎて、反論できない。