無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 「それで……お母さんたち、理世の看病してたと思ったみたいで」
 《でしょうね。私しかいないもんね、夜通し看病しても不自然じゃない友達なんて》
 「うん」
 《で? 実際は誰の看病だったの?》

 天音はおにぎりの包装を指でいじりながら、一瞬だけ間を置いた。

 「会社のインターン」
 《それって、例のカメレオン男じゃない》
 「あ、うん。風邪で倒れてて放っておけなくて」
 《ふうん》

 理世の相槌には、なにか意味を含めたような響きがあった。

 《それで朝帰り》
 「……そう」

 ふたりの間に沈黙が落ちた。おにぎりの包みをいじりながら、なんとなく気まずい思いに包まれる。
 《ねえ》

 「なに」
 《天音にとって、彼はほんとにただのインターン?》

 答えに詰まった。
 頭の中に浮かぶのは熱で潤んだ目と、かすれた声で名前を呼ばれた気がした朝のこと。

 《天音が朝帰りしてまで看病するって相当だよ》

 天音は、おにぎりから手を放して動きを止める。
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