無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 「はい、それで問題ありません」
 「そっか。迷ったらまずデフォルトさんに聞け、だな」
 「その呼び方はちょっと……」

 苦笑しながら言うと、同僚は楽しそうに肩をすくめる。

 「だって寺崎さんって、一番ブレないじゃないですか。設定初期値」

 悪意はないと知っているが、からかい半分なのは明らかだ。

 「変更が必要なときは、ちゃんと言いますから」
 「はいはい。じゃあ、またなにかあったらお願いしますね、デフォルトさん」

 ひらひらと手を振って去っていく背中を見送り、天音は小さく息を吐いた。

 (……デフォルト、か)

 自分でも否定しきれないところが少しだけ複雑だ。
 天音はパソコンに向きなおり、キーボードに指を置いた。
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