無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 男性はぽかんとしたあと、すぐに思いあたったように目を瞬かせる。

 「あっ、昨日の」
 「す、すみません、カメレオンなんて呼んで」

 謝る天音に対して、彼は気にした様子もなく肩をすくめる。

 「いや、ああいうの、印象に残りますよね」

 (印象に残るっていうか……強烈すぎるというか)

 そう思う間にも、彼はすでに向かいの席に腰を下ろしている。確認も遠慮もない。

 (相席、確定……)

 天音が内心で息を呑むのをよそに、彼はメニューを開いた。

 「ここ、初めてなんですけど」
 「……はい」
 「お勧め、どれですか?」

 いきなり質問され、天音の動きが止まる。

 (お勧めって……)

 壁に貼られたメニューを目で追う。選択肢は多いが、自分が勧められるものはひとつしかない。

 「タンタンメンです」
 「即答ですね」

 楽しそうに言われ、なんだかバツが悪い。
< 18 / 251 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop