無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 「私、それしか食べたことなくて」
 「へえ」

 彼はそう返して、迷いなく店員を呼んだ。

 「タンタンメンください。それと辛子高菜と……このトッピング、全部で」

 天音は思わず目を丸くした。

 (全部!? そんなのある!?)

 いや、普通はない。そんな注文の仕方をする人を初めて見た。

 「どうかしました?」
 「あ、いえ。私もタンタンメンをお願いします」

 はっとしてから取り繕い、同じように注文する。

 (どうかしました?じゃないわ。やっぱりこの人、おかしい。どうかしてる)

 ほどなくして運ばれてきた二杯のタンタンメンは、とうてい同じものに見えず、まるで別物。彼のほうは赤いし緑だし賑やかで、すべての具材が強く主張していた。

 「おお、いい匂い」

 彼はそう言って、躊躇いもせずレンゲでスープをすくう。

 (そのまま食べるのが、一番いいのに……)
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