無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます

 午後の業務は、思った以上に立て込んだ。電話対応に資料の修正。確認依頼が次々に飛び込んできて、パソコンから目を離す暇がない。

 「寺崎さん」

 背後から声をかけられて、天音は反射的に振り返った。幹人だった。

 「あ、ごめんなさい。今ちょっと立て込んでて」

 そう言って、すぐに画面へ視線を戻す。冷たい言い方をするつもりはなかったのに、声は必要以上に事務的になってしまった。

 「わかりました」

 短くそう返されただけで、足音が遠ざかる。
 胸の奥が、きゅっと縮んだ。避けたいわけじゃない。ただ、どう接していいのかわからないだけだった。
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