無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 どうやら天音が杉村に報告するより早く、幹人が鈴川に話していたらしい。

 「でも、だからって、どうして杉村さんと鈴川さんが?」

 幹人が素直な疑問を口にする。なぜ接点のなさそうな彼らが、自分たちをここに集めたのかと言いたいのだろう。

 「説明する?」
 「頼むわ」

 そんな軽い調子ではじまった告白は、なかなか衝撃的だった。
 杉村と鈴川は、社内では秘密の恋人同士。三十四歳の彼女と二十八歳の彼、立場も周囲の目も気にしながら、ずっと水面下で付き合ってきたという。
 天音のお見合い話は杉村から鈴川の耳に入り、そこから幹人の知るところとなった。
 お酒が運ばれ、料理が続々とテーブルに並んでいく。

 「全然、気づきませんでした」

 天音がそう言うと、杉村はくすっと笑った。

 「でしょうね。気づかれないようにするの、意外と得意なのよ」
 「その代わり、勘だけは鋭くなる」

 鈴川の視線が、幹人に向く。

 「な?」
 「……はい」
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