無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 天音は自分のシンプルな一杯に視線を落とし、心の中で呟いた。

 「毎回、同じもの頼むタイプですか?」

 不意に聞かれ、小さく頷く。

 「失敗しないので」
 「なるほど」

 彼はひと口食べてから、満足そうに息を吐いて続ける。

 「俺は逆ですね。失敗してもいいから、全部食べてみたい」

 それがあたり前であるかのように、あっさりと言いきった。

 「失敗したら後悔しませんか?」

 せっかく注文した料理が口に合わなかったら、ショック以外のなにものでもない。

 「しますよ。でも、そうしないほうが後悔します」

 そう言って、彼はラーメンをすすった。

 (選択を間違えても後悔しないなんて……あり得ない)

 天音は、思わず未知の生物でも見るかのような目で彼を凝視した。
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