無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
その週末、天音は駅前のロータリーで高校時代からの友人、沢木理世と合流して並んで歩きだした。
「懐かしい道だねー。高校のときとなにも変わってない」
まつ毛の長い大きな目を細め、理世が周りを見渡す。少し癖のある栗色の長い髪が、木漏れ日で煌めいた。
「ほんとだね」
目的地は、駅から少し外れた場所にある小さな洋食屋。少し前にふとした会話の流れで、久しぶりに行ってみようとなったのだ。木枠のドアに少し色あせた看板は、高校時代から変わっていない。店に入ると、バターとケチャップの混ざった匂いがふわりと漂ってきた。
昔のままの店構えと匂いに、一気に高校時代へタイムスリップした気になる。
店員に案内された窓際のテーブルに理世と向かい合って座った。
「さてと、なににしようかなぁ。天音はどうする?」
「オムライス」
間髪入れずに答えると、理世が吹き出した。
「相変わらずだなぁ。高校生のときも、それ一択だったよね」
「一番おいしいから」
「それしか食べたことがないだけでしょ」