無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
総務課主任。責任も業務量も、これまでとは比べものにならない。調整役として板挟みになることも増えるだろうし、失敗すれば矢面に立つ立場だ。
正直に言えば、不安のほうが先に浮かぶ。
(……私に務まるのかな)
慎重で、無難を選んできた自分。波風を立てず、今の場所を守ることを優先してきたこれまで。
けれど、不意に脳裏に浮かんだのは、設計部のフロアを忙しそうに行き交う幹人の姿だった。
同期に囲まれ、先輩の指示に即座に応え、真剣な横顔で図面を覗き込む彼の姿が。
――眩しい。そう思うと同時に、胸が少しだけ疼いた。
彼は、もう立ち止まっていない。学生から社会人へ、迷いながらも確実に前へ進んでいる。
(じゃあ私は?)
恋人だから支えたい、なんて綺麗事だけじゃ足りない。輝きを増していく彼の隣に立つなら、ただ〝好き〟でいるだけでは、いつか居心地の悪さに変わってしまう気がした。
挑戦しない、今の自分のままでいいのだろうか。
思い返せば、二年前の昇進を断ったときも同じだった。できない理由を先に並べて、可能性から目を逸らした。
でも今、幹人は自分の立場を誤魔化さず、怖さを抱えたまま一歩を踏みだしている。あの夜、『待てない』と言ってくれた彼の真っすぐな目が、胸の奥で重なった。
(私も恥ずかしくない人でいたい)
正直に言えば、不安のほうが先に浮かぶ。
(……私に務まるのかな)
慎重で、無難を選んできた自分。波風を立てず、今の場所を守ることを優先してきたこれまで。
けれど、不意に脳裏に浮かんだのは、設計部のフロアを忙しそうに行き交う幹人の姿だった。
同期に囲まれ、先輩の指示に即座に応え、真剣な横顔で図面を覗き込む彼の姿が。
――眩しい。そう思うと同時に、胸が少しだけ疼いた。
彼は、もう立ち止まっていない。学生から社会人へ、迷いながらも確実に前へ進んでいる。
(じゃあ私は?)
恋人だから支えたい、なんて綺麗事だけじゃ足りない。輝きを増していく彼の隣に立つなら、ただ〝好き〟でいるだけでは、いつか居心地の悪さに変わってしまう気がした。
挑戦しない、今の自分のままでいいのだろうか。
思い返せば、二年前の昇進を断ったときも同じだった。できない理由を先に並べて、可能性から目を逸らした。
でも今、幹人は自分の立場を誤魔化さず、怖さを抱えたまま一歩を踏みだしている。あの夜、『待てない』と言ってくれた彼の真っすぐな目が、胸の奥で重なった。
(私も恥ずかしくない人でいたい)