無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 その通りである。ここでは必ずオムライスと決めている。ハンバーグもドリアも日替わりランチもあるのに、頼んだことはいっさいない。

 「絶対に外さないから」

 それがなによりだ。ほかの料理を食べた場合、もしかしたらガッカリするかもしれない。でも、おいしいとわかっているものなら絶対に安心だ。

 「まあね。でも、ほかのもおいしいよ?」

 あれもこれもと、メニューを広げて指で差す。理世は定番を押さえつつも、適度に冒険をするタイプだ。無難街道まっしぐらの天音のよき理解者でもある。

 「うん、でも私はオムライス」
 「ふふ。一貫してるね、天音は」

 褒め言葉とはちょっと違うけれど、貶しているわけでもない。理世は「私はなににしようかな」とメニューと睨めっこして、エビのトマトクリームパスタに決めた。

 「これ、昔はなかったメニューだ」
 「そうなの?」
 「も~、天音はオムライスしか目に入ってないんだから」

 半分呆れながら笑われてしまった。

 しばらくして運ばれてきたオムライスは、高校の頃から変わらない見た目。ふわりとした卵に、かけられたケチャップがツヤツヤしている。

 (やっぱり安心する)
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