無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 ひと口目の前に、もう〝おいしい〟がはじまっている。期待を裏切られることは絶対にない安心感だ。

 「いただきまーす」

 ふたりで揃って手を合わせ、理世はフォーク、天音はスプーンを手に取った。

 「やっぱりおいしい」

 とろける卵と、ほのかに甘いケチャップライスの一体感は最高としか言いようがない。

 「だねだね」

 天音の反応に理世が激しく同意する。彼女のパスタもおいしそうだ。

 (……私はたぶん注文することはないと思うけど)

 思い思いに食べながら、話題は自然と今週の出来事へと移っていく。

 「理世は爬虫類って平気?」
 「唐突ね。平気かどうかは種類によるけど、ヘビって爬虫類だっけ? あれは無理」

 その姿を想像したのか、理世が顔をしかめる。

 「そういえば昔そんなこと言ってたね」

 たしか、子どもの頃にとぐろを巻いているヘビに道端で遭遇したのだとか。びっくりして逃げたら、追いかけてきたという。
 嫌いになるのも当然。というかトラウマレベルだ。
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