無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 「で、それがどうかしたの?」
 「この前いつものペットショップに寄ったら、飼い主から脱走したカメレオンが足元を横切ってね」
 「カメレオン? カラフルで綺麗だよね」
 「えぇっ?」

 第一声の好意的な感想が、天音から次の言葉を奪う。〝うわぁ〟とか〝ひぃぃ〟とかいう、どちらかと言えばマイナス方向の反応を予想していたのに、大きく裏切られてしまった。

 「天音は無理っぽいよね。まぁ私も、遠くから見ているくらいならってレベルだけど。そのカメレオンがどうしたの?」

 理世が平気だとは驚きである。

 「横切っただけなら、ちょっとびっくりした出来事で終わるんだけど……」
 「ってことは、続きがあるんだ」

 フォークをくるりと回しながら、理世が先を読んで口角をニッと上げる。
 天音は軽く頷いて続けた。

 「次の日、会社近くのラーメン屋に行ったら、その飼い主と遭遇したの」
 「えっ、すごい偶然」

 理世は、ぱちっと目を見開いた。

 「しかも相席」
 「相席!?」

 声が大きくなり、理世は慌てて口元を押さえた。
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