無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 「天音がオッケーするなんて驚き」

 苦笑しながら天音が頷く。

 「私が返事する前に座っちゃったの。それこそ秒で。向こうは全然悪びれてなくて。お勧め聞かれて、結局その人も同じメニューを頼んだんだけど」
 「うんうん」
 「私のタンタンメンとは、まったくの別物だった」
 「なにそれ」

 理世がぷはっと吹き出す。

 「トッピング全部のせ」
 「全部!?」
 「そう、全部」

 あれは今思い出しても衝撃的なラーメンだった。

 「ははっ、すごいね、その人」
 「変な人でしょ?」
 「うん。でも、ちょっとおもしろそうじゃない? トッピング全部のせでしょう? そんな人が天音の〝いつも〟に、二回も乱入してきたんだ」

 たしかに乱入という言葉はぴったり。ラーメンを前に、躊躇せずレンゲを動かす姿が脳裏に浮かぶ。失敗してもいいと言い切った声も。

 「その人、どんな感じだったの?」

 理世が目を輝かせて聞いてくる。
 どういう人だったか、記憶を頼りに言葉にしていく。

 「たぶん私たちより若い。容姿は……いいほうかな」
 「へえ」
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