無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 「天音さん」

 さっきまでの余裕のある表情が、少しだけ消える。

 「話したいことがあります」

 改まった声音に、天音は背筋を伸ばした。

 「うん、どうしたの?」
 「俺は、天音さんと結婚したいです」

 想定外。予想もしていない言葉が幹人の口から飛び出した。突然のプロポーズに声も出ない。

 (もしかして、私が結婚を意識してるの、伝わってたの……?)

 姉の結婚を話題にしたとき、幹人はまったく興味がない様子だった。それでも、ちょっとした表情の変化から感じ取っていたのかもしれない。
 重荷にさせてしまったのではないか。

 「ごめん、私が焦らせちゃったんだよね」
 「違います」
 「でも、幹人くんが本当にそう思ってくれるときまで大丈夫だから」
 「それなら今がそのときです」

 飾り気のない言葉が、間を置かず続く。

 「今すぐ式を挙げたいとか、完璧な準備があるわけじゃありません。でも」

 天音に一歩近づいて、声を落とす。
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