無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 杉村は肩をすくめる。

 「触れてないのに距離が近い。声の調子も目線も全部、好意がダダ漏れよ」

 天音は耳まで熱くなるのを感じた。

 「気をつけてるつもりなんですけど……」
 「ええ、わかるわ」

 杉村はくすりと笑う。

 「抑制してるからこそ余計に漏れるのよ。好き合ってる者同士の甘さって」

 返す言葉が見つからない。
 杉村はデスクに戻りながら、さらりとつけ加えた。

 「安心して。悪い気はしないし、仕事に支障も出てない。ただ——」

 一瞬だけ振り返り、「完全に隠せると思わないことね」と言って意味深に微笑んだ。
 天音は深く息を吸い、ファイルを胸に抱きなおした。
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