無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 シャープな顔立ちのイケメンだった。たぶん、なにもせずに立っていたら、女の子たちはチラチラ見ずにはいられないだろう。あくまでも〝なにもせずにいたら〟であるけれど。

 「たぶん、物事を深く考えてない」
 「そうなの?」

 理世が笑いながら聞き返す。
 思い出すのは、ラーメン屋でメニューを決めたときの迷いのなさ。悩むそぶりもなく、勢いで注文していた。初めてのお店なのに、だ。
 天音だったらそうはいかない。そもそも新しいお店に行くこと自体、最近は本当に稀だ。

 「自分が選ぶものに自信がある」

 そう言ったあと、天音は小さく息を吐いた。
 衝動的なのに芯が通っているし、矛盾しているようで妙に一貫している。不思議な人だ。

 「ふうん。天音とは真逆のタイプだ」

 意味ありげに相槌を打った理世に強く頷いた。言葉にして表してみると、ことごとく天音の生き方と反対だ。

 「けど意外と、そういう人のほうが天音にはいいのかも」
 「私にはいいって?」

 どういう意味かわからず聞き返す。

 「彼氏として」
 「どうしてそうなるの」
< 26 / 251 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop