無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 たぶんそれは、天音の縄張りとも呼ぶべき場所に〝異物〟が侵入してきたせいだろう。ペットショップもラーメン屋もそうだが、会社は天音の生活の基盤みたいな場所だ。
 思いがけない再会は、ラーメン屋のときの比ではない。しかも四月からは同僚になる。

 (はぁ、ほんとに信じられない)

 思わずため息を漏らすと、幹人がすかさず反応した。

 「ため息は」

 幹人がサンドイッチを袋から半分ほど出したところで、口角をぐっと上げる。

 「建築的には、耐久年数を縮めるらしいですよ」
 「……え?」

 思わず箸を止めた。

 「冗談です。根拠はありません」

 さらっと言い切ってから、おにぎりを手に取る。

 「でも、ため息つくくらいなら、ここで一回リセットしたほうがいいです。昼休みですし」

 その原因はあなたですとは言えない。返す言葉を探しながら、彼を見る。からかっているようで、どこか本気でもある顔だ。
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