無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 おそらくストレスは人の心身を消耗させると言いたいのだろう。建物で言えば、劣化が早まって耐久年数が縮むと。〝ため息ばっかりついていると、心の建物が早く傷むよ〟といったところか。かなり緩い建築メタファーである。

 「そうね、そうします」

 ここで見る彼のように、天音も素直に頷く。

 「それにしても、こんなところでまた会うとは思いもしませんでしたね」

 幹人はサンドイッチの包装をたたみながら、どこか楽しそうに言った。偶然を面白がっているようだ。

 「私も驚いた」

 そう答えつつ箸は止めない。感情を盛らないのが、天音なりの平常運転だ。

 「ですよね。ペットショップにラーメン屋に、今度は職場。次はどこで会いますかね」
 「それは、もうないと思う」

 即座に返すと、彼は目をぱちっと瞬かせたあと、「ですね」と苦笑した。
 今は大人しくしているが、いつ嵐を巻き起こすかわからない。とにかく距離をとって平常心でいようと思ったそのとき。

 「ここにいたのね」

 休憩室の入口から、聞き覚えのある声がした。顔を上げると、杉村が軽く手を上げながら近づいてくる。
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