無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 「……あら」

 ふたりの様子を見て、杉村がわずかに目を細めた。

 「一緒だったのね。ちょうどよかったわ」

 天音は思わず背筋を伸ばす。

 「なにかありましたか?」
 「ええ」

 杉村はにこやかに頷いてから、幹人のほうを見た。

 「今夜、加地くんの歓迎会を開こうと思ってるの。先約はある?」
 「歓迎会、ですか」

 幹人は目を丸くしてから、すぐに笑みを浮かべた。

 「ありがとうございます。ぜひ参加します」
 「そう、よかったわ」

 杉村は当然のように天音に視線を向ける。

 「寺崎さんも、来られる?」

 断らないでねという意思を感じる眼差しだ。

 (今夜か……)

 天音は一瞬だけ言葉を探し、それから静かに頷いた。

 「はい」
< 42 / 251 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop