無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 「……そう、かな」

 思わず視線を向けると、幹人はにこっと笑った。

 「はい。安心感がありました」

 彼の言葉に目を瞬かせる。彼の口から、そんなワードが出てくるとは思わなかった。自分が大事にしているものを言い当てられた気がして、思いのほかうれしい。

 (いやいや、喜んでどうするの)

 カシスオレンジに口をつける。

 「寺崎さんは仕事ができるから」
 「総務の要だもん」

 向かいの席から、そんな声が飛んでくる。

 「いえ、そんな」

 天音は苦笑いでグラスに視線を落とした。要だなんて大袈裟だし、注目されるのは苦手だ。

 「迷ったら寺崎さんに聞け、みたいなとこあるよね」
 「わかる。判断基準がぶれないから安心」
 「そうそう。うちのデフォルトさん」

 何気なく出てきた呼び名に、幹人が瞬きをした。

 「デフォルトさん?」

 箸を止めて、天音のほうを見る。
< 46 / 251 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop