無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 「それって、どういう」
 「えっとね、それは――」

 説明しようとした同僚の声を遮るように、「お待たせしました」と店員の明るい声が響いた。焼き鳥の盛り合わせやから揚げ、もつ鍋やシーザーサラダが次々とテーブルに並べられていく。取り分け用の小皿が置かれ、場の空気が一気に食事モードに切り替わった。

 「わ、すごい」
 「とりあえず食べよ、冷める冷める」

 会話はそのまま流され、みんなの興味は天音から料理に移る。

 (よかった……)

 天音は胸の中で小さく息をつき、箸を手に取った。話題の中心になるのは苦手だ。
 この店は部署の食事会でたまに使うが、焼き鳥が特にお気に入り。おかげで食べ終えた串は皿に増えていき、それに比例してお酒も進む。アルコールは強いほうではないが、嫌いではない。
 天音が飲み進めているうちにも、会話は再び仕事の話題へ。

 「加地くん、うちの部署どう?」
 「まだ一日ですけど、思ってたより忙しいですね」
 「でしょう?」
 「地味って言われがちなんだけどね」
 幹人も無理に目立とうとせず、聞き役に回ったり、時折的確な相槌を入れたりしている。自然と場に溶け込んでいた。
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