無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 「えー! そうなの!? イケメンだからモテるでしょ?」
 「いえいえ、研究とカメレオンで手いっぱいなので」
 「カメレオン!?」

 顔の前で手を振って否定する幹人の言葉に、テーブルのあちこちから驚き交じりの笑いが起こる。

 「はい、俺の唯一の友達なんで」

 冗談めかしているだろうに妙に真剣だ。

 「またまたぁ、友達多そうだし」
 「じつは女の子にもモテモテだろ? 謙遜するなって」

 賑やかな声を聞き流しながら、天音はグラスに口をつけた。心の中でそうだそうだと加勢する。
 整った顔立ちに均整の取れた体つき。愛想もいい。黙っていても目を引くタイプだ。グループの中心にいて、目立つ人という印象である。
 本人にその自覚がないのだとしたら厄介だ。

 「だけどカメレオンって簡単に飼えるの? ちょっと大変そう。ね? 寺崎さん」
 「えっ? ……あ、はい……」

 不意に杉村から賛同を求められてまごつく。みんなの視線まで集まり、目が泳いだ。

 「寺崎さんはカメレオン、苦手ですもんね」

 ふと幹人に言われて目が泳ぎ、言葉に詰まった。この場で知ったようなふりは控えてほしい。

 「あら、どうしてそんなことまで知ってるの?」
 
 案の定、杉村からツッコミが入った。

 「あ、それは」

 説明しようとしたところで追加注文した生ビールが運ばれてきたため、杉村の意識がそちらに移る。二度目の乾杯をしようと、グラスを高く持ち上げた。
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