無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
歓迎会は和やかな空気のままお開きとなった。「もう一軒行く?」という声が上がり、何人かはそのまま二次会へ流れていく。
「寺崎さんは?」
ジャケットを手にした杉村が声をかけてきた。
「私はここで失礼します」
「そう? 残念だけどわかったわ。今日はありがとう」
軽く会釈を交わして出入口へ向かっていると、背後で幹人の声がした。
「俺も帰ります」
「主役が帰っちゃうのかよ」
「すみません。学校の課題があるので」
引き止められた幹人が申し訳なさそうに謝罪する。
「そっか。まぁ学生の本文は勉強だもんな。そう言われちゃあ引き止められないな」
そんなやり取りを聞きながら店を出た。夜風があたり、アルコールで火照った頬が冷やされていく。
(ちょっと飲みすぎたかな……)
駅に向かって歩きながら、指を折って何杯飲んだか数える。いつもは二杯程度なのに、今夜は四杯も飲んでいた。どうりで体がふわふわしているわけだ。
のんびり歩いていると、後ろから近づいてくる足音が聞こえた。