無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
少しだけ言葉を区切って、横目で天音を見る。
「寺崎さんに言われるのは、なんか新鮮です」
「なにそれ」
「なんでしょうね。評価、ってことで受け取っておきます」
軽口のようでいて、きっぱり言い切る。
その調子に、天音は返す言葉を失った。
街灯の下で、幹人が前を向いたまま続ける。
「少なくとも俺は、退屈だなんて思わないです」
それ以上はなにも言わず、天音に歩調を合わせて歩く。夜の空気の中で、そのひと言だけが妙に残るのはなぜだろう。
「あっ、ちょっと待ってください、寺崎さん」
会社を通り越したところで幹人が突然、足を止める。左手に伸びる細い路地の先を見ていた。
「どうかしたの?」
「あれ、なんの店だろう」
そう言っている間にも幹人は駆けだしている。
「ちょっ」
天音が声を出したときには、路地の数十メートル先で立ち止まっていた。陸上選手も顔負け。どれだけ足が速いのか。いや、すばしっこいと言ったほうがいい。
立ち止まって幹人の様子を眺めていると、看板を見ている彼が不意にこちらを見た。
「寺崎さんに言われるのは、なんか新鮮です」
「なにそれ」
「なんでしょうね。評価、ってことで受け取っておきます」
軽口のようでいて、きっぱり言い切る。
その調子に、天音は返す言葉を失った。
街灯の下で、幹人が前を向いたまま続ける。
「少なくとも俺は、退屈だなんて思わないです」
それ以上はなにも言わず、天音に歩調を合わせて歩く。夜の空気の中で、そのひと言だけが妙に残るのはなぜだろう。
「あっ、ちょっと待ってください、寺崎さん」
会社を通り越したところで幹人が突然、足を止める。左手に伸びる細い路地の先を見ていた。
「どうかしたの?」
「あれ、なんの店だろう」
そう言っている間にも幹人は駆けだしている。
「ちょっ」
天音が声を出したときには、路地の数十メートル先で立ち止まっていた。陸上選手も顔負け。どれだけ足が速いのか。いや、すばしっこいと言ったほうがいい。
立ち止まって幹人の様子を眺めていると、看板を見ている彼が不意にこちらを見た。