無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
午前中はあっという間に過ぎた。電話対応を終え、ファイルを閉じたところで、デスク上の時計が正午を指す。
周囲でも椅子が引かれ、誰かが「お昼行ってきます」と声をかけている。
お弁当が入ったバッグを取り出しかけて、ふと手を止めた。香ばしい匂いと自信満々な笑顔が、頭を過る。
(……考えておく、って言ったんだし)
そう自分に言い聞かせながら、天音は椅子から立ち上がった。
休憩室に入ると昼特有のざわめきと、電子レンジの低い音が重なっていた。天音は空いている席を見つけ、お弁当バッグを置く。
「寺崎さん」
呼ばれて振り向くと、紙袋を提げた幹人が入口に立っていた。明確な約束はしていないのに、当然のような顔でこちらへ歩いてくる。
「やっぱり〝考えておく〟は、前向きの合図ですね」
そう言って、向かいの椅子に腰を下ろす。否定のしようもない。
紙袋を開くと焼き色のついたパンがいくつも顔を覗かせ、ふわりといい匂いが広がる。
「よかったら、どうぞ」
幹人はそう言って紙袋をこちらへ少し押し出した。
周囲でも椅子が引かれ、誰かが「お昼行ってきます」と声をかけている。
お弁当が入ったバッグを取り出しかけて、ふと手を止めた。香ばしい匂いと自信満々な笑顔が、頭を過る。
(……考えておく、って言ったんだし)
そう自分に言い聞かせながら、天音は椅子から立ち上がった。
休憩室に入ると昼特有のざわめきと、電子レンジの低い音が重なっていた。天音は空いている席を見つけ、お弁当バッグを置く。
「寺崎さん」
呼ばれて振り向くと、紙袋を提げた幹人が入口に立っていた。明確な約束はしていないのに、当然のような顔でこちらへ歩いてくる。
「やっぱり〝考えておく〟は、前向きの合図ですね」
そう言って、向かいの椅子に腰を下ろす。否定のしようもない。
紙袋を開くと焼き色のついたパンがいくつも顔を覗かせ、ふわりといい匂いが広がる。
「よかったら、どうぞ」
幹人はそう言って紙袋をこちらへ少し押し出した。