無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 画面を覗くと、ビルメンテナンス業者から届いた定期点検の報告書が並んでいる。
 写真フォルダには、不具合箇所らしき設備の写真。メールソフトには、書きかけの文面が途中で止まっていた。

 「業者対応?」
 「はい。報告書まとめて、写真と照合して、不明点があったら確認メールを……」

 言いながら、少し歯切れが悪くなる。

 「文面、これでいいのか迷ってて」
 「手伝おうか」
 「いえ」

 即答だった。

 「俺が引き受けた仕事なので、最後までやります」

 声は落ち着いているが、どこか力が入っている。

 「途中で人に投げるの、あんまり好きじゃなくて」
 「だけど、迷ってるんでしょう?」
 「なんとかなりますから」

 いつもの調子で乗り切ろうとしているみたいだが、仕事は勢いだけでどうにかできるものではない。社員が指導しながらならまだしも、業者対応をインターンにさせるのは会社的にもまずい。

 天音はデスクの横に立ち、モニターを見たまま続ける。

 「こういうのは、ひとりで抱え込むものじゃないから」
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