無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 「でも」
 「業者対応は経験がものを言うところが多いの。最初から全部わかる人なんていないわ」

 幹人は口を閉じ、しばらく画面を見つめたまま動かなかった。

 「……正直、どこまで聞いていいのか、わからなくて」

 ぽつりとこぼしてから、顔を上げる。

 「じゃあ……少しだけ、お願いします」
 「こうなる前に声をかけてくれればいいのに」
 「みんな忙しそうだから」
 「ごめんね、気づいてあげられなくて」

 椅子を引き、彼の隣に腰を下ろす。

 「まず、報告書と写真は番号で突き合わせて。不具合の場所と内容が一致してるか確認」
 「はい」
 「それで、業者へのメールは」

 画面を指差しながら、具体的に言葉を選ぶ。

 「要件を先に。感想とか前置きはいらない。確認事項は箇条書きにすると、向こうも返しやすい」
 「……なるほど」

 幹人は素直にメモを取りながら、何度も頷いた。

 「寺崎さん、すごいですね」
 「慣れてるだけ」
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