無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 黄金色のビールと、グラスいっぱいに詰まった果肉。輪切りのグレープフルーツが縁に飾られ、爽やかな香りがふわりと立つ。

 「お気に入りの仲間入りですか?」

 幹人が、どこかうれしそうに言う。
 部署の飲み会で、『生グレープフルーツサワーもおいしいですよ』と半ば強引に注文させられた一杯。酸っぱそうだし、好みじゃなかったら嫌だなと思いながら口をつけて、予想外においしかったものだ。

 「おいしかったから」

 そう言いながらグラスを手に取る。

 「寺崎さんのお気に入りにしてもらえて光栄です」

 幹人は恭しく胸に手をあてておどけた。

 「じゃあ」

 幹人がビールジョッキを持ち上げる。

 「乾杯」

 グラスを傾けると、果肉の酸味とほのかな苦味が口に広がる。やっぱり、悪くない。
 気づけば、彼に勧められたものを素直に受け取っている。それを不思議に思いながらも、嫌ではない自分がいる。

 そうしているうちに、料理が次々と運ばれてきた。ジャガイモのロールフライに餅ピザ、トマトのバターソテーなど、どれも目新しい。もちろん花ニラとエビのシュウマイもある。
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