無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 「じゃあ、早速食べましょうか」
 「そうね、いただきます」

 揃って手を合わせ、割り箸を手に取る。
 最初に箸を伸ばしたロールフライは、衣がほろりとほどけるように軽く、噛むたびにじゃがいもの甘みがふわっと広がった。思わず顔を見合わせてしまうほどの素朴な優しさだ。
 餅ピザは表面が香ばしく、もちもちの生地に濃いチーズが絡んで、ひと口で満足感が押し寄せる。トマトのバターソテーは、熱でとろけた果肉にバターの香りが染み込み、酸味と甘さが小さく弾けた。
 そして花ニラとエビのシュウマイ。蒸気とともに立ちのぼる香りだけで、もうおいしいとわかる。口に運べば、ぷりっとしたエビの食感と花ニラのほのかな苦みが重なり、思わず息が漏れるほどだった。
 ふたり揃って「おいしい」しか口から出てこない。そうして余計な話はせずに食べ進め、皿は見事に空っぽになった。

 「加地くんは、どうして建築の道に進んだの? あ、詮索じゃないの。話したくなかったら聞かないし」

 会話の糸口を探して、ふと尋ねた。

 「祖父が大工だったんで、その影響です。建築は人の生活を支えるものだって教わって。存在がたしかなものだから、かな」
 「わかる」

 気づいたら、そう口走っていた。

 「私も、建物は完成したらそこにあり続けるから建設業界を選んだの」
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