無難に生きたいのに、全力すぎる彼が構ってきます
 幹人は目を瞬かせ、それから照れたように笑った。

 「バレました?」

 言葉は軽いのに、その奥にあるものは軽くない。
 天音はそれ以上、踏み込まなかった。でも、踏み込まない選択をしたこと自体が、さっきまでの自分とは違う気がした。
 関わらないようにしようとしていた彼の話を、気づけば理解しようとしている。
 それが仕事の延長なのか、それともそれ以外なのか。答えははっきりしない。

 「観月建設で勉強して、いつかは独立して設計事務所を開くのが夢です」
 「そう。素晴らしい志ね」

 輝かしい目標に向かって、真っすぐに突っ走る。挑戦をものともしない若さ溢れる幹人を眩しい目で見た。

 「変わらないものがあるって、思っていた以上に支えになるよね」

 言い終えてから少しだけ恥ずかしくなった。彼の夢に感化されたのかもしれない。こんなことを話すつもりはなかったのに。

 「ですね」
 「でも、たまにこうして変化があるのもいいんだなってわかった」

 天音の日常の輪郭が少しずつずれていく。
 幹人は一瞬だけ考えるような間を置いた。
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