国宝級イケメン御曹司はフェチの所為で恋愛できない
沙耶とありさはバーを出てすぐの横道に入り二人でしゃがみこんでいた。

「副社長にはばれてないよね?」

「沙耶は全然大丈夫。私も副社長の視野に入っていなかったわ。二日前に会ったのにね。ちょっと自信失う」

「それにしても二の腕がどうのこうの言ってなかった?」

「うん、言ってた。もう一人の人もちょっと呆れてたよね。彼もイケメンだったけど…」

「副社長って変態なのかなあ?」

「う~ん、そこまでは…沙耶の腕が綺麗だったからじゃない。毎日プリエ欠かさないもんね。だからスタイルも首からデコルテに腕のラインが綺麗な事は認めるけれど、あんなナンパのお誘いは初めてだよね?」

そこで二人は顔を見合わせて大笑いした。とにかく帰ろう。

沙耶は一人暮らしのマンションに着くと今日の副社長の真剣な眼差しを思い浮かべた。

沙耶の二の腕が美しいと言って一緒に飲もうと誘ったのだ。

沙耶の顔より二の腕を見ていた。

変な趣味ではあるが、沙耶は中学生までバレーをやっていたので、体幹はしっかりしているし姿勢もいい。

毎日朝と夜にプリエを第1~第五ポジション迄を各20回づつやるのだ。

脚のダイエットになると言われているプリエだが両手を肩の高さで広げて指先まで美しく整えてやるプリエは首からデコルテそして腕にかけての結構な運動になるのだ。

沙耶のこのスタイルはこういう小さな努力の賜物でもある。

夜のプリエの日課を終えて兄の悠一にラインをしておく。

悠一の付けで飲んできちゃったので払っておいてね。

たいした金額ではないのだが、ただナンパの男が鬱陶しくてさっと出てしまいたかったからという注釈もつけておいた。

兄からは了解という愉快な豚のスタンプが送られてきて思わず微笑んだ。

兄は父と同じ脳外科医をしているのだが、病院ではクールなイケメンドクターと言われている。

クールなドクターにしては可愛くて面白いスタンプが好きで沙耶にそんなスタンプをよく送ってくる。

ちなみに父は大学病院の脳神経外科の教授でもある。

沙耶の自慢の家族だ。
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