国宝級イケメン御曹司はフェチの所為で恋愛できない
山野辺沙耶は副社長の機嫌を見るのが得意だと言うか死活問題なのだから得意にもなる。

機嫌が悪くなってくるといつもにこやかな柔らかい雰囲気が少し硬くなる。

笑顔も作り笑顔で眉間にしわが寄ってくると最悪だ。

返事もしないし嫌な仕事だとキャンセルさせられる。

第1秘書で秘書室長の皆藤と合図は決めてある。

副社長の機嫌は3段階。

頬をかけば第1段階悪くなり始める兆候があると言う意味。

耳を引っ張れば第2段階かなり悪い第3段階に移る前に何とかしなければいけない状況。

眉間をつまめば第3段階もうどうしようもないと言う感じで、そうなったら次の会議なり会食なりは悲惨な事になるのだ。

機嫌のいい時は皆藤に手を振る。

まあめったにそんな事はないけれど…

沙耶は副社長の秘書なんて羨ましいと社内の女性社員によく言われるのだが、この俺様御曹司の秘書なんかはっきり言ってやりたくない。

秘書課には美人の秘書がわんさかいるのだから変わってほしい。

いい事と言えば国宝級イケメンの御尊顔をいつも拝める事くらいだ。

俺様だが性格はそこまで悪くはない。

顔はそこいらの俳優も顔負けである。

きっと青山や渋谷を歩いていたら何人もの芸能事務所の人の勧誘に会うだろう。

歩く事はないだろうけれど、いつも運転手付きの車だ。

中学校時代からそうらしい。電車も一人では乗れないのではと沙耶は思っている。
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