密かに… そっと…
ピコーン。

電子音に、はっと顔を上げる。

「今、何時……」

時計を見ると、22時を過ぎていた。

「うーん……」

背伸びをして、勉強で固まった体をぐっと伸ばす。

「そうだ、スマホ」

慌てて画面を覗き込む。

【詩音くんからクエストの招待が届いています】

キャー!

叫びたい声をなんとか飲み込み、そのままベッドに倒れ込む。

足をばたばたさせながら、必死に嬉しさをこらえた。

(いやいや、こんなことをしている場合じゃない)

すぐにゲームの画面を開き、認証を済ませる。

少しだけ読み込みを待って、ホーム画面に入ると、チャットを開いた。

そこにある名前を見ただけで、また心臓が跳ねる。

『ごめん、遅くなった』

送信。

一呼吸おいてから、既読がつくのをじっと見つめた。

『良かった。今、ソロで行ってきたんだけどダメだった。手伝ってもらえますか?』

「キターッ!」

すぐさま返信する。

『今、何を倒しに行ってるの?』

送ると、すぐに詩音くんから返事が来た。

二人だけ。

画面の中だけなのに、そこには確かに“二人だけの世界”があった。

なんて幸せなんだろう。

『わかった。装備整えるね。』

『お願い』

その二文字を見た瞬間、胸が跳ねる。

お願い。

詩音くんからの“お願い”。

(……キャー)

その文字を見た瞬間、声にならない悲鳴が、喉の奥で暴れた。

(よし、今日も詩音くんのために頑張らなくちゃ)

『お待たせ、準備できました』

そのままクエストに入る。

画面の中で、一緒に動き始める。

最初は少し距離を取りながら進んでいたのに、気づけば同じタイミングで敵に攻撃していた。

何も言っていないのに、妙に噛み合う。

そして、

『やった、勝った、ありがとう』

『すごいね、詩音くん。昨日よりもっと上手くなってる。とてもやりやすかったよ』

お世辞ではなく、本当にやりやすかった。

考えていることが同じというか。

(私たち、ゲームの中ですごくいいペアだったかも)

そんなことを思うだけで、顔のニヤニヤが止まらない。

『俺たち最強かも』

そのメッセージが届いた瞬間、私はベッドに倒れ込んだ。
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