密かに… そっと…
平凡な私の周りには、特に大きな出来事もなく、季節だけが過ぎていく。

文化祭、体育祭。

高校生らしいイベントはたくさんあったけれど、私にとってはどれもいつも通りの日常だった。

そして、クリスマス。

街には恋人たちが溢れ、テレビでは恋愛ソングが流れる。

もちろん、私には全て無縁のイベントだ。

一つだけ変わったことといえば……。

塾に通い始めたことくらい。

(綺麗なイルミネーション……。鈴の鳴る軽やかな音楽……。はいはい、恋人たちの季節ねー……)

「別にいいもん。私は夜に詩音くんとゲームする時間があるし」

色とりどりの電飾でドレスアップした街路樹を横目に、私は小さく呟いた。

冬休みに入ると同時に冬期講習が始まり、私は以前のようにバイトへ入れなくなっていた。

代わりに、白田さんがメインでシフトに入っている。

そのせいか、詩音くんと顔を合わせる機会も自然と減っていた。

だからこそ、夜、ゲームの中で会える時間が今まで以上に大切になっていた。

毎日の詩音くんとのゲームの時間が私の原動力なのです。

そして、気づけばあっという間に年が明けていた。

また新しい一年が始まった。

「明けましておめでとう」

「今年もよろしく」

なんと!

年越しを詩音くんと過ごしたのです!

……と言っても、ゲームを通してだけど。

でも、カウントダウンを二人で迎えたってことじゃない?

しかも、今年一番最初に新年の挨拶を交わしたのは詩音くんだ。

「キャー!」

思わずベッドの上で転げ回る。

絶対、今年は良い一年になる!



そんな風に思っていたのに……。
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