僕の父親はコックリさん
 助けを求めていた人物の声も、そうやってかき消されてきたんだろう。
「頼む、助かってくれ……」
 妖は無意識のうちにお守りを握りしめていた。その手にはじっとりと汗が滲んできている。
 どれだけ声をかけても、祈っても正雄の姿は見えてこない。もうすでに下流へ流されてしまったのか……。
 そんな不安が胸に膨らんできたときだった。
 川の流れの中から黒い髪の毛が揺れているのが見えたのだ。
「あれ!」
 妖は息を詰めて指をさす。
 そこをじっと見つめていると、時折鼻先が水面から出てくるのが見えた。
 なにかに捕まった状態で、鼻先だけ出して呼吸をしているらしかった。
「正雄! 正雄!」
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