僕の父親はコックリさん
 叫んで蔦を川へ向けて投げ入れる。ぐねぐねと曲がりくねっている蔦は、それでも一応はまっすぐ正雄の近くまで飛んでくれた。
 しかし正雄は片手で岩、そしてもう片手で子供を抱えている状態だ。どちらか一方の手を離しても命取りになる。
 左手を離せば子供が、右手を離せばふたりともが濁流の中。そんな危機敵状況でも正雄は冷静に蔦を見つめていた。どうにかしてあれを掴むことができないか……。
 蔦の片方は妖がしっかり握りしめてくれているが、川の流れに押されて蔦が折れてしまう可能性もある。決断は早くしないといけない。
 額がじっとりと濡れているのは川に潜ったせいだけではなかった。
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