僕の父親はコックリさん
 陽子の声が上ずっている。その目は大きく開かれて十円玉を凝視している。
「ただの勘違いじゃない?」
 鼓動が早くなるのを無理やり押さえつけながら香は冷静に答える。そう、これは単なる勘違い。誰かが指力を入れてしまって、それで動いただけ。
 ずっずずずっ。
 十円玉が紙の上を這いずるようにして『はい』へと移動する。
 その瞬間教室の気温が一度下がったような気がした。香の背中に冷や汗が流れていく。
「だ、誰がやってるの!?」
 陽子に似た友人が表情を引きつらせる。指先が微かに震えているのもわかった。
「私なにもしてない!」
「私だって!」
 口々に叫ぶ声が教室に響く。
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