僕の父親はコックリさん
 それは浩平に取り憑いているキツネのホームということか。
 それからしばらく無言で石段を上がっていくと、ようやく開けた場所に出た。伸び放題になった草の奥に大きな建物が見える。昔はここが本殿だったのだろう。今では朽ち果てて屋根が落ちてきてしまいそうだ。立ち入り禁止の黄色いテープもぼろぼろに褪せていて、風になびいてちぎれてしまいそうだ。
 境内に足を踏み入れた瞬間妖はくんっと鼻をならした。どこかで嗅いだことのある匂いが微かに漂ってきている。
「なにか匂いますか?」 
 黒羽に言われて妖は眉間にシワを寄せた。
「匂います。でもどこからかわからなくて」
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